聖書日課について
礼拝の聖書の箇所は、どのように決めていると思いますか?
クリスチャンの信仰がバランス良く養われるために、礼拝の中で、「定められた聖書箇所を、どのように解釈しメッセージするか」は重要です。同時に、毎週の礼拝で「どの聖書箇所を読むか」も非常に重要です。
礼拝で使用される聖書箇所を慎重に計画しなければ、毎週礼拝に出続けていても、聖書理解の特定の側面が抜け落ちてしまうことも、起こりえます。たとえば、「1年のメッセージの中で、再臨について語られることがなかった」とか、「何年も礼拝に出ているのに、旧約聖書の重要な聖句を、メッセージで聞いたことがない」といったことも起こりえます。
礼拝の中で朗読される聖書箇所を、バランス良く選択するために、古くからいろいろな聖書日課が作られてきました。
聖書日課には、大きく2つの方式があります。①聖書の順序に従って連続して読んでいくもの。(連続講解説教につながる。)②教会暦に沿って、その日に合わせて選択されるもの。[1]
■聖書日課
現代のプロテスタント教会でも、いろいろな聖書日課が使われています。ここでは、参考文献に従って、世界的に普及している2つの聖書日課を、簡単に紹介します。(1)「改訂共通聖書日課(The Revised Common Lectionary)」と、(2)英国のジョイント・リタージカル・グループによる「4年サイクル聖書日課」です。
いずれも、教会暦に沿って聖句が選ばれています。伝統に従って、旧約聖書から1箇所、詩篇から1箇所、新約の福音書から1箇所、新約のその他の使徒書簡から1箇所、合計4箇所が選ばれています。
◆1.改訂共通聖書日課
改訂共通聖書日課(The Revised Common Lectionary) [2]
特徴:
・1年間で「主イエスの生涯」をバランス良く扱う
・旧約聖書は、①福音書に合わせた箇所、
②旧約を準継続的に選ばれた箇所、から選べる。
・3年間で、マタイ・マルコ・ルカを中心に読まれる。
ヨハネは適宜、はさみ込まれている。
・英語原版:https://lectionary.library.vanderbilt.edu/
・日本語で一部変更:http://frkuroda.s361.xrea.com/lectionary
◆2.英国 ジョイント・リタージカル・グループ
ジョイント・リタージカル・グループの「4年サイクル聖書日課」(A Four Year Lectionary, The Joint Liturgical Group; JLG2)[3]
特徴:
・1年で「救済史」をバランス良く取り上げる
・降誕前の9主日は、創造・堕落・アブラハム・モーセといった
旧約聖書の歴史の箇所が取り上げられる。
公現日以降はキリストの宣教が、レントには受難、
ペンテコステ以降は、福音書の準継続朗読となる。
・救済史を、創造から終末まで展望できる。
聖書全体を扱うため、クリスチャンの信仰の成長に有益。
・日本基督教団の「日毎の糧」は、
このJLG2の「4年サイクル聖書日課」に基づいている
https://www.amazon.co.jp/dp/B09N9KR6TD/
■当教会での実践
当教会では、2022年度より、礼拝の中心となる新約・旧約の2箇所の聖句を選択するために、改定共通聖書日課(The Revised Common Lectionary)を参考にしてきました。(新年や教会行事などの際には、独自に選択しています。)
聖書日課を用いることで、教会暦に従いつつ、主イエスの生涯と教えを福音書からバランス良く取り上げるように取り組んでいます。
参考:日本基督教団出版局 聖書日課編集委員会編「新しい教会暦と聖書日課」に、教会暦や聖書日課の伝統や、いくつかの聖書日課のより詳細な説明が記されています。
[1] 日本基督教団出版局 聖書日課編集委員会 編「新しい教会暦と聖書日課」p40
[2] 日本基督教団出版局 聖書日課編集委員会 編 同書 p80-82
[3] 日本基督教団出版局 聖書日課編集委員会 編 同書 p82-95